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![]() 俳句のこころは外国人にはわからないなんてよく言われる。 日本人は、カエルが水に飛び込んだときの小さな音が聞こえて来る程の静かな情景を頭に思い描きそれを風情と感じることが出来るが、日本の風土に慣れ親しんでいない人にはそれが理解できないということを言っているのだが、小林一茶の時代と現代とのあまりにも大きな隔たりを考えると一茶の心の風景にどのくらい近づけるかという点において日本人と外国人の差はあまりないように思うのだ。 一茶の心情は、カリブ海にイグアナが飛び込む時にメキシコ人が感じるアレなのか?氷上のアザラシが海に飛び込むときにイヌイットが感じるアレなのか? いや、きっとアレじゃないんだけど、ないんだけど俳句のこころは国境を越えて伝わるとぼくは考えている。 日本に興味を持つ外国人は多い。日本かぶれのフランス人のことをタタミゼなんて呼ぶらしい。平均的な日本人よりも、禅に通じていて旨い豆腐を食べていて漢字の読み書きが出来ちゃう、そんなシュルタタミゼだったらきっと俳句の言葉と言葉の間に漂う空気を損なう事無くフランス語に転換できるのではないかな。 前回に引き続き翻訳の話なんだけど、やっぱりディランの話。 「Don't Look Back」はアコースティックからエレクトリックに転向する時期のディランの英国ライブツアーのドキュメンタリーだ。 紋切り型の質問を浴びせかけるインタビュアーをおちょくったり、お気に入りの杖を探し楽屋をうろうろしたり、ハモニカの音が良くないとだだをこねたりと(とりまきはディランの一挙動一投足にふりまわせれてしまうのだ)ディランの珍奇男ぶりがうかがえるという点でも興味深い映画なんだけど、なんせライブがすばらしかった。 照明を落としたステージ上のディランにスポットライトが当たり、3台くらいの固定カメラがディランを写しているだけの映像で、映画自体がモノクロなのでとてもシンプルだ。たまにハモニカを交換してる時以外はずっと直立不動で歌っている。 アルバムで既に何度も何度も聴いた曲なのに、歌詞や和訳も目を通し空で歌える曲だってあるのに、「こんな曲だったんだ!」とディランに出会えたことの喜びを再認識した、そんなライブフィルムだった。 ライブ自体がすばらしかったこと、ドキュメンタリー映画の一連の流れの中に組み込まれたシーンだからということも勿論ある。 でも、あんなにも深い感動を覚えたのは演奏シーンのときの字幕に負うところが非常に大きかったということに後から思い当たった。 勿論、レコード、CD盤に付いてくる片岡ユズル先生の対訳も、思い切りがよく、ユーモアにあふれていて大好きだ。 日本語に訳しきれない部分は日本語としてはちょっとおかしい直訳だったり、英語をそのままカタカナに直すだけなんて荒技もやってのけるもの。 対する「Don't Look Back」の対訳(誰の仕事なのかな?)。 これは原曲の情報が絶対的に欠落している。空から言葉がポトリポトリと落ちてくるように画面上に文字が浮かび上がり、そして消えていく。 そんな途切れ途切れの言葉は音楽と映像の邪魔を全くしない。 逆に情報の欠落は意識を英語の意味を拾う事、歌の抑揚を感じることに向かわせる。 そして音楽と映像と言葉(意味)が一丸となってぼくの脳内ですごい時間芸術となった。 誤解を恐れずに書かせていただきます。 このライブフィルムを観て、英語を母国語とする人たちに負けないくらいに、もしかしたらその人たち以上にディランのかっこよさを理解したと思ったのさ。
by amadylan
| 2007-07-07 23:57
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