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![]() カルカッタからバラナシにむかう夜汽車の中、でっかいクエスチョン・マークを頭にのっけてぼくは寒さに震えていた。インドといえど北部の10月、夜明け前は非常に冷えるのだ。 何故車両内の全ての窓が全開なのだろうか?あなたたちは寒くないのですか?風がびゅうびゅう入って来るではないか。 加えて腹の調子がおかしいぞ、カルカッタで食べたトマトがどうもあやしい。心配だなーと思ってたら案の定バラナシ駅に到着したときには完全に風邪をひいてしまい、しかも激しい下痢に見舞われた。 強烈な日差しや押し寄せてくる客引き、すえた臭いに気絶しそうになりました。 カルカッタで知り合った日本人のテツ君とイギリス人女性3人で同じホテルに泊まろうということになり、心身ともに弱っていたので他の2人におまかせしてたらガンジス河からかなり離れたところに泊まる事になった。 ベッドに倒れるともう動けない。イギリス人も過労でダウンしてて2人して一日中寝てた。 翌日イギリス人は回復したが、ぼくは下痢がひどくなる一方で、テツ君に買って来てもらったジュースや水を飲むと次の瞬間トイレに駆け込むといったありさまで、口から肛門までが筒になったみたいだった。 憧れのガンジスを目前にしながらベッドとトイレを行き来するだけの哀れなぼくに、テツ君はガンジスの悠久の流れを得々と語りぼくを羨ませがらしたり、このホテルは何かやばいと進言してきてぼくを不安な気持ちにさせたりした。 次の日イギリス人は出て行った。ぼくはといえば日に日に体の水分が失われてくばかりで全然回復にむかう兆しがみられないのだが、テツ君もガンジス河のほとりでいい感じになった女の娘と明朝カトマンドゥーに出発すると言った。ぼくを見捨てて。 逆の立場だったら間違いなくぼくもテツ君と同じ行動をとるので文句はないが、互いの旅の安全を願う言葉をかわして別れるときに「はやくふられてしまえ」と心の中でつぶやいたとも。 1人っきりになってこのままでは本当にやばいと思い、バラナシ大学の付属病院に行く事にした。ベットから起き上がるだけでもしんどいのに果たして病院までたどりつけるだろうか。 ちょっとでも気を抜くとおもらししそうな状況下、リキシャーの振動はつらい。一刻もはやく病院に着きたいのに運ちゃんは行きすがら仲間と立ち話したりおやつを買って食べたりと道草ばかり。 リキシャーの上でぼくは肉体的な危機はさることながら、もらしてしまうのではという精神的危機をも感じつつ、じりじりと太陽に焼かれていた。 リキシャーを乗り継いでやーっと病院に着いたが受付がどこだかわからず、それ以前に病院のシステムがまったくわからず、気の遠くなるように長い患者の列を見てその場にへたり込んでしまった。そんな僕をたくさんのインド人が見つめるのだが特に気にしていない様子だった。 とにかく病院の人間に自分の状態を知らせなくてはと思いリュックから辞書を取り出し,下痢が英語で diarrhea ( ダイアリア )だと知り声にだしてみたら、いままで無関心であったかに見えたまわりの人々がどーっとぼくを取り囲みヒンドゥー語で口々にまくしたててきた。 そのうちに誰かが呼んでくれた病院関係者が車いすで僕を医者のところまで運んでくれたのだった。 海外旅行者のあいだでとかく悪国と呼ばれがちなインドであるが、この病院での経験から、インド人は基本的にいいやつだという印象があるのだ。(つづく)
by amadylan
| 2005-08-20 02:39
| 旅(回想録)
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