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インド山岳地帯にダラムシャラーという町がある。 ダライ・ラマの宮殿があることで有名だが、それまで滞在していた首都デリーのうだるような暑さと喧噪がうそであるかのように冷たい空気と静寂に満ちあふれていた。 チベット人種が多く住むこの町はインドでありながらチベット文化が生活の基盤となっている。 道行く人は手にマニ車とよばれる円柱に棒がついているアイスキャンディーみたいな形の道具を持っている。 そして円柱部分にはひも、ひもの先にはおもりがつけられていて、遠心力を使っておもりをぐるぐる回し、従って円柱部分もぐるぐるまわっている。 マニ車の中には経文が入っていて、これを一回転させるとこのお経を全部読んだ事になるそうだ。 厳かさの中にもゆるさがありチベット仏教なかなかあなどれない。 街中には寺院の回廊や道沿いに据え付けてあるタイプの巨大マニ車などもあり朝晩の決まった時刻にチベット系の人はガラガラとマニ車を回すのである。 中心街をちょっとはずれると民家はすぐになくなり山村に続く何本かの道があるだけで、山肌が見える程度に木々が生えている小さな山がどこまでも続いているそんな景色だった。 ぼくの泊まった宿は中心街からおよそ15分くらいの静かな場所にあったのだけれども、屋上からの眺めはすばらしかった。 この屋上で、デリーから一緒だった日本人とタイコをたたいて気持ちよくなっていると、眼前に欧米人のおばはんが現れ、「あなたたちのプレイはなかなかいかしているわ、でもうるさいからやめてくんろ。」てな趣旨のことを言ってきた。 「すいません。ちょっと気持ちよくなっちゃって音が大きすぎたかもしれません。もう少し音を小さくします。」と言ったら、そのおばはんは「完全に音を止めろ!」と言い放ち、宿が建っている山腹の上方を指差し「わたしたちはあそこで瞑想をしているのです。」と言った。 その指先の方向にはぼくらが泊まっている宿の4〜5倍の人数を収容できそうなくらいに巨大なメディテイションセンターが二つドドーンと建っていた。 なぜだか瞑想しにインドにくる旅行者が多い。 この手の人たちはちょっとアレなのでぼくらはもちろん静かになったのだった。 中心街に行く道は一つしかなく食事を取るために1日2往復ぼくらはこの道を通った。 道中に粗末な掘建て小屋があり、その横で家主である乞食のおっちゃんがいつも弦楽器を弾きながら太鼓を叩いて歌をうたっていた。 右手の手首には糸が結ばれていて右手のストローク運動で糸が引っ張られたり戻ったりする度におっちゃんの手前にあるからくりの人形がくるくる回る。 それ以外の仕掛けがある訳でもなし、いつ通っても同じ歌で、はっきりいってたいした芸ではない。 でも、自分の芸にプロ意識を持っていることが彼の一点の曇りもないプレイからうかがい知れる。 そしてそのプロ意識に対して通りすがりの観客はいくらかのパイサ、ときにはルピーを銭入れに投じるのである。 ぼくも何回目かに通った時に1ルピーを投じて彼が友人と話しているクロッキーを描いた。ちょちょっと軽く描こうとしただけなのに、スケッチブックを出したとたん人がわらわらと集まってきて、かたわらで何やらひそひそ話し始めるので、非常にやりづらい。 まあ旅先ではよくある事だ。 後に別の日本人旅行者から、彼がここら辺の乞食の親分で仲間に金を貸したり酒をふるまったりしているというようなことを聞いた。 「酒はかなり好きらしいよ。小屋の中でときどき酒宴がおこなわれているらしいよ。」などと言う。 うむむ、彼はなかなかのやり手だったらしい。 チベット版の蒸しギョウザ「モモ」は肉厚の皮の中にジューシーな水牛肉の具が入っていてこれを醤油ベースのたれ(後に中国醤油と呼ばれる調味料であることがわかる)につけて食す。 マサラで麻痺してしびれきった舌と脳に醤油味がやさしく浸透していく。 目をつぶると頭の中に日本ののどかな田園風景がひろがるではないか。 その他トゥクパとよばれるうどんがあって(これも醤油味のスープだ)、あつあつの麺をはふはふといただく。 鼻水が垂れちゃうけど、これまた旨い。 旨すぎてほお骨とか後頭部とか首の付け根がぶるぶるっと震えてしまう。 目をつぶるとまたしても日本ののどかな田園風景、耳をすませば「たけやさおだけ」のメロディーさえ聞こえてきそうである。 寒くて美味くてぶーるぶる。
by amadylan
| 2006-10-07 19:24
| 旅(回想録)
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